『進撃の巨人』34巻は、圧倒的なスケールと緻密なプロットで語られてきたこの物語の壮大な結末が描かれています。物語は巨人の脅威から始まり、やがてエルディア人とマーレ人、さらには世界の存亡を賭けた争いへと発展しましたが、最終巻では主人公エレンが「敵」として描かれるという意外な展開が読者に衝撃を与えました。
物語の要となるのは、エレンが選んだ「地鳴らし」という破壊的な行動と、それを止めようとする仲間たちの葛藤。人々の信念や愛憎がぶつかり合い、テーマには自由と暴力、支配と解放、そして愛と犠牲といった重厚なテーマが深く織り込まれています。また、ミカサとエレンの関係性や始祖ユミルの存在が、巨人の力と彼らの運命を象徴しつつも、新たな解釈を引き出しています。最後には、一見して争いの終結を示しながらも、戦いの終わらない人類の姿が余韻を残し、現実に対するシニカルなメッセージが込められています。
本巻のエンディングは賛否が分かれ、すべての伏線を回収しきれていない点も指摘されていますが、それが読後に多くの解釈の余地を残し、作品の魅力を高める一因にもなっています。長編作品としての構成美、社会性を追求したテーマ、そして読者の心に深く残る余韻──『進撃の巨人』34巻は、現代漫画の新たな金字塔と言えるでしょう。
タイトル | 進撃の巨人 34 |
原作者 | 諫山創 |
出版社 | 講談社 |
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